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イベント

エイブル・アート近畿 関連企画「地域づくりシンポジウム」を開催しました

2009年12月11日

主催:近畿ろうきん兵庫地区統括本部 / 共催:賀川豊彦献身100年記念事業実行委員会

11月29日、神戸アートビレッジセンターにて、「地域づくりシンポジウム」を開催し、会員労働組合・全労済やコープこうべなどの協同組織・NPOなどの市民団体・自治体関係・大学関係などから、計220名の方にご参加いただきました。

シンポジウムは、映画『死線を越えて』、基調講演、パネルディスカッション、映画『with・・・若き女性美術作家の生涯』&監督トーク、の内容で進められました。主催者を代表し、当金庫常務理事 嶋田兵庫地区統括本部長より「人と人が支え合い、つながり合う協同の理念は、社会が厳しくなればなるほど、より普遍的な価値として私たちの社会に活かすことが求められている」とご挨拶いたしました。

以下がシンポジウムの概要です。

映画上映『死線を越えて』(短縮版)

この映画は、賀川豊彦の生涯を描いた小説『死線を越えて』を1988年に映画化したものを、短縮版にまとめたものです。出演は、国広 富之さんや黒木 瞳さんなどです。

また、今回ご協力をいただいた、賀川豊彦献身100年記念事業実行委員会 神戸プロジェクト事務局の西顧問にお越しいただき、当時の時代背景や賀川の人となり、数々の功績、私たちが学ぶべきことなどについて、上映の前後に分かりやすく解説いただきました。

広く見ていただくために作られた約45分の短縮版でしたが、ちょうど100年前の神戸(新川)の貧困社会に飛び込み、悲惨な現実に打ちのめされそうになりながらも、さまざまに救貧活動を実践するとともに、次第に防貧の思想と実践を広く展開していく賀川豊彦の生き方などを知ることができる作品です。

基調講演『人間が好きになるまち』(要旨)

講師:播磨 靖夫さん(財団法人 たんぽぽの家 理事長)

経済・社会のシステムが限界を迎える中、本当の豊かさとは何かを問い直す時期に来ています。他者への配慮や連帯感を育てていくことが必要になっています。賀川豊彦が社会矛盾に憤り活動を開始した100年前と、今はもしかしたら同様の社会かもしれません。「格差」の問題はもちろんですが、現代においてさらに大きな課題は、「分断」ということです。「人と人を分ける」という関係性の“きつさ”が、問題をより深刻なものとしています。

こうした社会を変えていくには、「協同の理念」が必要です。NPOも含めてあらゆる活動について「社会的連帯」という大きな視座が必要になるだろうと思います。働く場づくりを含めて「経済活動」が重要なのはもちろんですが、これに加えて、文化やアートを通して「豊かさ」を創っていく視点が求められています。

私たち「たんぽぽの家」は、近畿ろうきんと共に、アートを通した人のつながりを長年創ってきていますが、こうした多様な活動がとても大切だと思っています。

パネルディスカッション『つなぐ、つなげる、協同の地域づくり』

パネラー
鞍本 長利さん(NPO法人 ウィズアス 代表)
山添 令子さん(生活協同組合コープこうべ 常勤理事)
牧 秀一さん(神戸市立楠高等学校教諭)
コーディネーター
法橋  聡(近畿ろうきん地域共生推進室 室長)

コーディネーターの法橋より「特に震災以降、神戸の地で人のつながりや復興に向けて最前線で活躍されている3名の皆さんに集まっていただきました。賀川豊彦の“協同の理念”を今に活かした多彩な取り組みが実践されていることを共有し、かつ、組織原理や文化が違う活動が相互につながる可能性を探りたいと思います」とご説明し、パネルディスカッションはスタートしました。

鞍本さん(NPO法人 ウィズアス 代表)は、ご自身の家族のことなどにも触れながら、障がい者や高齢者が神戸に観光に来る際の《旅行プラン提供》や《介助人派遣》など、現在進めているウィズアスの事業を紹介し、「特に高齢化が進む時代、これらのサービスはユニバーサルな当たり前のものになるはず。自分自身のこととして考えてほしい」と強調されました。

山添さん(生活協同組合コープこうべ 常勤理事)は、賀川豊彦氏らが中心となって1921年に創設されたコープこうべの歴史に触れながら、現在進めている組合員の助け合い活動など、“分厚い福祉活動”を紹介されました。あわせて、福祉作業所で作られる商品を生協商品として、質を精査しながら正規納入を行おうとしている取り組みを説明し、その活動を通して、地域と生協の連携の可能性が広がることなどが報告されました。

牧さん(神戸市立楠高等学校教諭)は、震災以降の被災者支援のための「よろず相談室」の取り組みを報告したうえで、震災障がい者があらゆる支援からずっと切り捨てられてきた現実を訴え、弱者が切り捨てられない対応が必要だと強調されました。また、障がい者の雇用促進の活動にも触れて、さまざまな人々が「まぜこぜに生きる」ことが大事で、法定雇用率に加えて「法定就学率」の概念を教育の場に持ち込むことが必要と呼び掛けました。

パネラーは、それぞれ想いの詰まった方ばかりで、90分という時間はあまりに短く、コーディネーターの法橋は四苦八苦状態でしたが、全体を通じて、「切らない、分けない社会」に向けて多くの挑戦が続いていることを会場全体で共有できる場になりました。

スペシャルプログラム/映画上映&監督トーク

映画『with… 若き女性美術作家の生涯』
監督トーク:榛葉 健さん

この映画は、阪神淡路大震災で瓦礫の下から救出された女子大生の佐野由美さんが、大学卒業後にネパールのスラム街のボランティア教師になり、貧しい子供たちを支えていくドキュメンタリー映画です。1年間の赴任期間を終えて日本に帰る直前、彼女はある出来事に巻き込まれ・・・という予想外の展開になります。映画は、2001年に製作され、現在も自主上映が全国各地で続き、既に6万人以上の方々が観られています。

上映後、お越しいただいた榛葉監督からは、撮影の経緯や映画制作後の展開や、自主上映を続けながら、「with基金」と称して貧困地区における教育支援活動の佐野さんの遺志が引き継がれていることなどについてお話いただきました。また、シンポジウムが開催された11月29日は、佐野さん自身の誕生日でもあるとのお話もあり、めぐり合わせを感じる内容となりました。




[ “賀川豊彦”パネル展示の様子 ]

[ 会場全体の様子 ]

《参加者の声》〜アンケートより〜
・協同の精神を感じることができた。(40歳代・男性)
・自分の生き方や生きる意味を再度考えさせられた。(60歳代・女性)
・地域やボランティアについて、さらに自分なりに考えてみたい。(60歳代・女性)
・自分の考え方が少し変わったような気がします。(20歳代・女性)
・元気をいただいた。(40歳代・男性)
・他者への思いやり、その人達と自分と共に生きていると感じた。(50歳代・男性)
・「どうつながっていくのか」これからの課題と思った。(60歳代・女性)
・地域で薄れている、連帯・連携を大切にしたいと思った。(60歳代・男性)
・他人のために生きることは、自分のために生きることと同じ。(60歳代・男性)
・どんどんこんな機会を作ってください。(60歳代・男性)
・パネルディスカッションで、もう少し時間をかけてお話が聞きたかった。(50歳代・女性)